世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を踏まえ、悪質な寄付の被害回復と防止を図る被害者救済新法の政府案が明らかになった。政府が18日に示した概要では、法人や団体が個人に寄付の勧誘をする際、禁止行為によってなされた寄付は取り消すことができるとし、子どもや配偶者にも一部取り消し権を認める内容になっている。
これまでほとんど規制がなかった寄付について法整備するよう提言をまとめ、政府に対応を迫った消費者庁の有識者検討会のメンバーはどう評価するのか。座長を務めた河上正二・東大名誉教授は「勧誘行為の悪質性を考えれば、『取り消し』で対応するのではなく、最初から『無効』とした方がいいのではないか」と疑問を投げかける。どういうことなのか。
――検討会の報告書が公表されて約1カ月後、新法の概要が明らかになりました。どう見ますか。
「時間的な制約があって、内容は必要最小限にとどまっている印象です。旧統一教会の問題を受けて作った新法ですが、対象の範囲は『法人』と広く、逆に規制の要件はゆるい。その意味では、信教の自由に対する配慮がとても強いと思います」
――点数をつけるとしたら?
「40点くらいだと思います。本人の財産権に対して周りの人間にも一定程度介入を認めたことは評価できます。本来は許されない仕組みを、民法の規定やその特例を使って説明しようと試みました」
「それから、禁止行為として、借金をしてまで、居宅を売ってまで寄付をさせてはダメという規定を設けて、一応上限をかぶせました。しかし、山林や田畑は対象外でした」
――足りない60点分は何ですか?
「まず一つは、禁止行為とし…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル